埋葬の意味や種類とは?許可証や埋葬法についてわかりやすく解説!

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この記事では埋葬とは何か?

意味や種類・方法、埋葬を行うために必要な許可、埋葬に関係する法律についてわかりやすく解説しています。

▼この記事を読んで理解できること
・埋葬の意味
・埋葬の種類、方法
・埋葬に関する法律や関連性

など

はじめに埋葬の意味から解説しています。

ぜひ最後までお読み頂き、お役立て頂ければ幸いです。

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埋葬の意味

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▼埋葬とは?

埋葬(まいそう)とは死者を土の中に埋めることである。

墓地、埋葬等に関する法律においては「死体を土中に葬ること」として、いわゆる土葬を指す言葉として定義されているが、慣用的な用法としては火葬後の遺骨を墓地や納骨堂などに収納することを指す場合もある。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

埋葬とは、火葬したあとに遺骨をお墓に埋める・もしくは納骨堂などに収めること
※納骨堂(のうこつどう)…遺骨を骨壷に入れて、安置しておく建物

定義としては「土葬を指す言葉」でもあるわけですが、日本での埋葬は火葬が主流となっています。

日本の火葬率は99%とも言われてます。

アメリカの火葬率はおよそ30%ぐらいだと言われていて、まだまだ土葬が多いようです。

埋葬は英語で何と言う?
「埋葬」の英語表記:burial(ベェリィアル)、もしくはinterment(インターメント)
「埋葬する」の英語表記:⇒bury(ベェリィ)

burialintermentはどちらも「土葬」という意味もあります。

さて、日本の埋葬方法として主流な火葬や様々な埋葬の種類について、次の項目より解説していきます。

 

埋葬の種類

はじめに、埋葬の意味について触れましたが、埋葬する方法には様々な形があります。

▼埋葬の種類
・火葬
 家族葬、一般葬(火葬を行う一般的な埋葬の形態)
・自然葬
・その他の埋葬の種類

では、それぞれ解説を交えて紹介していきます。

火葬

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火葬(かそう)とは、遺体を焼いて、残った骨を埋葬する方法です。
※仏教用語では、荼毘(だび)と呼ばれています

お通夜や告別式などの儀式を行わずに火葬のみでの方式のことを直葬(ちょくそう)と言います。

現在の日本で主流となっている埋葬方法が火葬式になります。

直葬のメリット葬儀費用が安くなる(お通夜、告別式を行わない為)
直葬のデメリット参列者からの不満や反感(お通夜、告別式を行わない為、十分なお別れが出来ない等)
直葬の費用10万円台~(※)

(※)基本的には葬儀社と火葬場それぞれに支払う形が多いです

▼火葬場について
・公営…自治体主体が運営
・私営…民間企業が運営
※一般的には私営に比べると公営の費用のほうが安い

▼火葬費用の内訳
・寝台車代
・霊柩車代
・棺代

骨壷
・ドライアイス代

※待合室がある火葬場、斎場では待合室料金も含まれます

葬儀社と火葬場に支払う費用は、地域によって大幅に異なることもありますので、いくつか見積もりされることをおすすめします。

▼あわせて覚えておきたい火葬について
日本の法律では死後24時間は火葬することができない
⇒ 最短で翌日以降に火葬となるので、遺体安置場所が必要になります
※基本的に安置方法は自宅安置、葬儀社や斎場の安置室、民間のご遺体保管場所

 

 

家族葬

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埋葬の種類として火葬を紹介しましたが、火葬を行う一般的な葬儀の形についても合わせて紹介しておきます。

火葬を伴う葬儀として、家族葬が挙げられます。

家族葬とは、ご家族やご親族・故人と身近な方々のみで行う葬儀の形態です。

家族葬と聞いて、何となくイメージされる方は多いのではないでしょうか。

▼家族葬のメリットなど

家族葬のメリット・参列者が少ないので費用が抑えられる
・近親者のみでアットホーム
・身内だけでゆっくりお別れができる(参列者の対応の心配がない)
家族葬のデメリット・葬儀後の弔問対応(知人、友人など参列できなかった方々)
・葬儀費用不足の懸念(参列者が限られるので一般葬より香典が少ない為)
家族葬の費用20万円前後~(※)

(※)安くて20万円前後~高くて150万円前後と幅が広く、平均相場は50~60万円

デメリットで触れていますが、家族葬は限られた参列者だけで行うことから、葬儀後に知人・友人などが弔問に訪れることがあります。

「どうして呼んでくれなかったのか?」など、ちょっとしたトラブルが発生してしまうことも中にはあるようです。

▼家族葬の流れ

ご逝去
お迎え

ご安置

打ち合わせ(納棺日など)

納棺

お通夜

告別式

出棺

火葬

家族葬の流れとして、お通夜・告別式などの儀式後に火葬を行うのが一般的となっています。

 

一般葬

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家族葬と同様に火葬を行う葬儀として、一般葬も挙げられます。

一般葬とは、ご家族やご親族・故人と身近な方々だけでなく、ご友人や職場(お仕事)関係者など一般の方を広く呼ぶ葬儀の形態です。

そのため、一般葬は家族葬よりも参列者の数が多くなる傾向になります。

▼一般葬のメリットなど

一般葬のメリット・式の手順など決まっているので安心
・一般の方など多くの方々が故人を偲ぶことができる
・弔問対応が減る(家族葬よりも多くの方に参列して頂けるので、葬儀後の弔問が少ないと言われてます)
一般葬のデメリット・葬儀費用が高くなりやすい
・香典返しの負担
・参列者が多い事の負担(葬儀の案内時など)
一般葬の費用20万円前後~(※)

(※)安いもので20万円台~高いものでは150万円を超えたり、平均相場も家族葬より高く約100万円と言われてます

参列者が家族葬に比べると多いことによるメリット・デメリットが見られます。

▼一般葬の流れ

一般葬の流れは、基本的には家族葬の流れと同じだと言われています(上記▼家族葬の流れ参照)。

▼家族葬と一般葬の違いは?
どちらも流れは基本的に同じだと言われてますが、違いは参列者の範囲となります
簡単にいうと家族・身内だけで行うのが家族葬で、一般の方々も呼ぶのが一般葬です

一般的には、家族葬と一般葬どちらも火葬後の遺骨は墓地や霊園に納骨して墓石を建てるものとなっています。

ですが、火葬を行ってもお墓を持たない(墓石を持たない)埋葬方法も存在しています。

それが次の項目にて紹介する自然葬です。

 

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自然葬

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自然葬も火葬を伴う埋葬方法ですが、墓地や霊園に納骨して墓石を建てる形ではない埋葬方法となります。

▼自然葬とは?

自然葬 (しぜんそう)とは、墓でなく海や山などに遺体や遺灰を還すことにより、自然の大きな循環の中に回帰していこうとする葬送の方法。
従来の日本で行われていた墓石を用いる葬法とは違い、遺骨を直接自然へ返したり、墓標として人工物を用いないものを指す。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

自然葬とは狭い意味では散骨、広い意味では火葬や樹木葬など「自然に回帰するような埋葬」全般の意味もあるようです。

散骨(さんこつ)とは、一般には、故人の遺体を火葬した後の焼骨を粉末状にした後、海、空、山中等でそのまま撒く葬送方法をいう。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

散骨とはわかりやすく言うと、火葬後に粉骨した遺骨(お骨)を海などに撒く埋葬方法の一種です。

「散骨は違法?」という声もよく挙がっているのを見かけますが、実際のところ法律的にはどうなのでしょうか?

⇒散骨に関する法律については当記事内「▼散骨・自然葬(樹木葬・海洋葬・宇宙葬)に該当する法律の関連性」にて解説しています。

現代の日本では少子高齢化問題や宗教の多様化などから、埋葬の形も様々です。

従来のようにお墓ではなく、散骨を選択するのも供養の形態の一つだと言えます。

 

樹木葬

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樹木葬(じゅもくそう)とは、墓石の代わりに樹木を墓標として、遺骨を土に還す自然葬の一つです。

埋葬する際に木を植える場合と、前々から植えられている木の周りに遺骨を埋葬する場合もあります。

▼樹木葬に用いられる主な樹木

ハナミズキサルスベリウメモドキ
エゾアジサイムシカリツリバナ

樹木葬で用いられる樹木は、低木なのが一般的になっています。

▼樹木葬の種類・メリットなど

公園型(こうえんがた)霊園内などで区画整理された場所で埋葬する樹木葬(土地の限られた都市部などで多い)
里山型(さとやまがた)市街地(都市部)から離れた山林など自然に最も近い場所で埋葬する樹木葬
樹木葬のメリット・お墓(墓石)を建てるより安価な場合が多い
・人間本来の自然回帰の実現
・承継者(後継者)の必要がない永代供養
樹木葬のデメリット・交通の便が良くない場合が多い
・自然災害などの懸念
・骨壷で納骨以外の場合、一度埋葬すると遺骨(お骨)を取り出せない
樹木葬の費用10万円台~(※)

(※)安いもので10万円台~高いもので80万円前後、平均相場は50万円前後と言われています

費用に関しては、個別型・集合型・合祀型それぞれのタイプで変わってきます。

▼個別型
故人お1人で個別に埋葬(ご家族やご夫婦と一緒に利用可)
▼集合型
シンボルツリーとなる樹木の下に個別の遺骨を埋葬
▼合祀型(ごうしがた)
シンボルツリーとなる樹木の周りが区画されていて、複数の遺骨を埋葬

集合型と合祀型は同じ意味合いで見られることもありますが、違いがあります。
違いは埋葬する地下の区画が個別になっているのが集合型で、個別になっていないのが合祀型です。

▼樹木葬に関する法律
・刑法第190条(死体遺棄罪など)
・墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)

法律についてはこの記事内の別項目「埋葬に関する法律」で触れています。

 

海洋葬

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海洋葬(かいようそう)とは、火葬した後の遺骨を海に散骨して供養する方法です。

海に散骨することから、海洋葬は海洋散骨とも言われます。

海洋葬の種類
・個別タイプ
故人の遺族1組で船をチャーターして散骨を執り行う
・合同タイプ
複数の遺族で船をチャーターして、一緒に執り行う
・委託タイプ
ご遺族による散骨ではなく、散骨業者が一任して執り行う
海洋葬のメリット・墓石を購入するより低費用
・自然源である海へ還す
・後々の世話など不要(お墓の場合では世話など必要に対し)
海洋葬のデメリット・ご家族、親族などの理解が必要(一般的なお墓の形でない等の理由)
・ご家族が一緒に永眠できない
・改葬(遺骨の移動)ができない
海洋葬の費用・個別タイプ…20万円台~30万円
・合同タイプ…10万円台~15万円
・委託タイプ…2万円台~5万円台

▼海洋葬の注意点
・海洋葬を検討される場合は海や湖、川に勝手に散骨してはいけない

樹木葬においても法律が関係しているように、海洋葬にも法律が関係します。
※法律についてはこの記事内の別項目「埋葬に関する法律」で触れています。

ちなみに、海洋葬に関するエピソードとして、故・石原裕次郎(俳優)さんが好きだった湘南の海への散骨をご本人が希望しました。

当時は法的に認可されずでしたが、1991年に法務省の「違法ではない」との発表により、遺骨の一部がご本人の希望する湘南の海へ散骨されたようです。

 

宇宙葬

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宇宙葬(うちゅうそう)とは、粉骨した遺骨をカプセルに納めてロケットで宇宙に打ち上げる散骨方法です。

最後はロケット(人工衛星)が大気圏に突入し、流れ星のようになって燃え尽きる形となります。

▼宇宙葬のメリットなど

宇宙葬のメリット・宇宙に行ける
・遺灰を納めたカプセルの位置確認がスマホアプリで可能
・環境に優しい(宇宙ゴミと呼ばれるスペースデブリを残さずに済む)
・宗教的な問題がない(宗教に縛られることがない)
宇宙葬のデメリット・ご家族、親族の理解同意
・遺灰が残らない
・ロケット打ち合げ日程の指定ができない
宇宙葬の費用20万円台~(※)

(※)宇宙葬を提供している会社やプランによって価格幅あり、高いもので100万円以上

宇宙葬の歴史としてはまだ浅く、初の宇宙葬は1997年に行われたとされています(複数の遺骨を格納した空中発射型ロケットにて)。

日本では2014年に大阪の葬儀会社・銀河ステージがアメリカのセレスティス社と提携し、費用としては約50万円で打ち上げられました。

▼宇宙葬と法律
「宇宙に打ち上げられるなんて…」など問題視・疑問視されている声も挙がったりしていますが、現在の日本では法律違反にはならないようです。

※法律についてはこの記事内の別項目「埋葬に関する法律」で触れています。

 

その他の埋葬の種類

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ここまでは、一般的に知られているものから宇宙葬など時代の流れと共に出てきた埋葬の種類や紐付く葬儀について紹介してきました。

埋葬の種類としては、まだまだ他にも多くあります。

ここから紹介する以下の埋葬の種類・方法については、現在の日本では法律で禁止されている・法的に問題ないが実際に行うことが難しい埋葬など含まれています。

・土葬
・水葬
・風葬
・洗骨葬
・鳥葬
・塔葬
・冷凍葬
・野ざらし葬
・鍋かぶり葬
・エンバーミング

何となく聞いたことがあるようなものから、中には初めて知る埋葬の種類もあるのではないでしょうか。

では、順にそれぞれ解説していきます。

 

土葬

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土葬(どそう)とは、遺体を焼却せずにそのまま土の中に埋葬する方法です。

▼土葬と法律について
埋葬なので法律が関係してきますが、現在の日本で土葬を行うことは可能です。

法律で「土葬はダメです」という但し書きはされていません。

ですが、火葬と同じように許可が必要だったり、土葬できる土地・地域が限られていたりします。

▼土葬についてもっと…
墓地(土葬用墓地)と提携して土葬を取り扱う「土葬の会」に見られるように、土葬の存続を維持する為に活動されている方々もいらっしゃいます。
土葬についての情報誌などを発行していたり、墓地の使用許可申請の取扱などされているようです。

 

水葬

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水葬(すいそう)とは、ご遺体を海や川に沈める埋葬方法です。

水葬はインドのガンジス川流域などで行われているほか、船上(海上)での死者に対して行われているようです。

▼日本における水葬と法律について
日本では刑法第190条(死体遺棄罪)に該当する為、禁止されています。
※刑法第190条について詳しくは別項目「埋葬に関する法律」で解説しています。

水葬は基本的には日本で禁止されていますが、船員法に基づいた例外が存在しています(以下、引用参照)。

【クリックで開閉】船員法による例外について

例外として、日本船籍の船では船員法15条に基づいて、船舶の航行中に船内の人間が死亡した時に、船長の権限で水葬を行える。

船員法に基づいて水葬を行うには、以下の条件を全て満たす必要がある。(船員法施行規則第15条、第16条)
死亡後24時間経過したこと(伝染病以外)
衛生上、船内に死体を保存できないこと。(ただし、船舶が死体を載せて入港することを禁止された港に入港しようとするときその他正当の事由があるときを除く)
医師の乗り組む船舶にあっては、医師が死亡診断書を作成したこと。
伝染病によって死亡したときは、十分な消毒を行ったこと。
本人写真の撮影、遺髪、遺品の保管をし、遺体が浮き上がらない処置を講じた上で相当の儀礼をもって行うこと。

また、自衛隊でも水葬に関する事柄が定められている(防衛省訓令 隊員の分限、服務等に関する訓令・第21条。自衛隊の場合は、船員法の条件と、下の2条件が異なった規定となっている。
医官が乗り組む船舶にあっては、医官が死亡診断書または死体検案書を作成していること
伝染病によって死亡したときは、感染症法およびこれに基づいて発する命令の規定による消毒方法をしていること

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

船員法の例外について簡潔な意味合としては

船の航海中に亡くなられた場合、船員法に基づいた水葬を船長権限で行うことが例外として許可されるという意味です。

ほか、自衛隊でも状況に応じて水葬を行うことができるという旨の内容となっています。

 

風葬

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風葬(ふうそう)とは、ご遺体を風や雨にさらして風化を待つ埋葬の一種です。

世界の各所で見られる風葬ですが、日本ではかつて沖縄や奄美地域で行われていました。

1960~70年辺りから沖縄で風葬を執り行う形は見られる事が無くなってきたようで、現在の沖縄では火葬が一般的となっているようです。

▼日本における風葬と法律について
日本の法律的に「風葬を行うことは禁止」という明記はありません。

ですが、現在の日本では死体遺棄罪などにあたる可能性があります。

※法律のことについては別項目「埋葬に関する法律」で解説しています。

 

洗骨葬

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洗骨葬(せんこつそう)とは、土葬(または風葬)を行って一定期間が経過した後に遺骨を取り出して洗い、再度埋葬する方式のことです。

▼日本における洗骨葬と法律
洗骨葬についての明記はなく、法律に触れる等の問題はありません

日本ではかつて沖縄全域や奄美地域で洗骨葬が行われていました。
その後、沖縄本島では火葬の推奨や保健所の指導もあり、洗骨葬は戦後消滅したとされています。

ですが、洗骨葬は現在も一部の離島で行われているという事象があります。
※以下、引用参照

【クリックで開閉】現在も一部の離島で行われている?

沖縄における洗骨の意味は、洗骨されないうちは死者は穢れていて、神仏の前に出られないという信仰があるからとされる。

洗骨という儀式において、実際に骨を洗うという行為は親族の女性、特に長男の嫁がすべきものとされた。
しかし衛生的に問題があるうえ、肉親の遺体を洗うという過酷な風習であるがゆえに、沖縄県の女性解放運動の一環として火葬場での火葬が推奨され、また保健所の指導により、沖縄本島では戦後消滅したとされる。

それでも一部の離島ではまだ現存しており、年配の人の中にはこうした形での葬儀を望む人も多いといわれる。
NHK鹿児島放送局は、与論島で行われたある家族の洗骨儀式の模様を密着取材し、2010年(平成22年)6月25日に『九州沖縄スペシャル』で放送した。
この番組は洗骨儀式そのものが今日ほとんど見られなくなっていることに加え、NHKによると洗骨儀式は身内以外には決して公開されないだけに、貴重な記録映像となっている。

番組によると、与論島で洗骨儀式が始まったのは明治に入ってからで、それまでは共同墓における風葬があたり前とされた。
しかし明治に入り、鹿児島県が風葬を禁じ、死体遺棄罪に問うとしたことから、止むなく始められたのが、いったん土葬を経た後の洗骨という形式であったという。
番組は、洗骨そのものに限らず、そこに至るまでの様々な過程と関わる家族の思いについても記録した。また、風葬による祖先の骨が多数みられる崖下墓の映像もあった。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

法的に禁止されているという事ではないので、現代においても洗骨葬という一つの形式が残されているのかも知れません。

ちなみに、散骨業者の中には「お骨洗い」という形で洗骨を行うところもあるようです。

 

鳥葬

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鳥葬(ちょうそう)とは、山などにご遺体を置き、野鳥など鳥類に食べさせる埋葬形式の一種です(中国では天葬と呼ばれる)。

日本ではほとんど馴染みのない形式だと思いますが、チベット仏教やインドのゾロアスター教徒で行われる鳥葬が有名なようです。

▼チベットの鳥葬

宗教上は、魂の抜け出た遺体を「天へと送り届ける」ための方法として行われており、鳥に食べさせるのはその手段に過ぎない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「天へと送り届ける」というのは、チベットにおける鳥葬の本質的なところに思えます。

日本には鳥葬の習慣があるわけではないですが、法律的にはどうなのでしょう?

▼日本における鳥葬と法律
鳥葬の習慣がない日本ですが、もし行った場合は刑法第190条(死体損壊罪)にあたる可能性あり

※刑法第190条については別項目「埋葬に関する法律」で解説しています。

日本では「法律に抵触する可能性」ではありますが、国や地域によっては鳥葬は「法律的に違法行為」となる事が多いようです。

 

塔葬

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塔葬(とうそう)とは、塩につけて乾燥させたご遺体に貴重な薬物や香料を塗って塔(霊塔)の中で安置させるチベットにおける埋葬方法の一種です。

チベット特有で独特な形式であるため、日本ではまったくといっていいほど馴染みがない埋葬方法なのではないでしょうか。

塔葬はチベットにおいてダライ・ラマなど名声(高位)ある一部の層だけに行われてきています。

▼日本における塔葬と法律
法律上で塔葬に関しての明記はありません。

日本での塔葬を実際に行われるという事は考え難いです。
ただ、仮にもしも塔葬のような方式を執り行った場合、様々な法律に抵触してしまうことになると思われます。

 

冷凍葬

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冷凍葬(れいとうそう)とは、完全凍結させたご遺体を細かな振動によって粉末状にするスウェーデン発祥の埋葬方法の一種です。

冷凍葬と聞くと「ご遺体を冷凍保存すること」と思われる方が多いのではないでしょうか。

▼冷凍葬の流れ
液体窒素(-196℃)でご遺体を急速冷凍

振動によって粉状に分解

仕組み的にはフリーズドライ技術の応用となっています。

▼冷凍葬の流れがわかる動画
Promession_Introduction of method(プロメッションメソッド紹介)

※メソッドとは方法、つまりプロメッションの方法紹介という意味になります
プロメッションとは「ご遺体を冷凍→振動で粉々にして乾燥→自然に還す」という意味だそうです。

動画の音声は英語ですが、視覚的に冷凍葬のイメージがわかりやすい内容となっています。

▼日本における冷凍葬と法律
法律上で冷凍葬に関しての明記はありません。

火葬よりも短時間で費用面も安くなる、臭いや公害などの懸念も無く環境面でも優しい冷凍葬に関心を寄せる声は少なくないそうです。

法整備や冷凍葬が行える施設が現在の日本にはありませんが、もしかすると火葬に変わる新たな形として普及する可能性があるかも知れません。

 

野ざらし葬

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野ざらし葬とは、その名の通りご遺体を野ざらしにし、腐敗・風化させるという風葬と近しい埋葬方法の一種です。

基本的には風葬と似ているのが野ざらし葬ですが、野山・林などにご遺体を置くことから林葬とも言われているようです。

▼日本における野ざらし葬と法律
日本の法律的に「野ざらし葬を行うことは禁止」という明記はありません。

ですが野ざらし葬も風葬と同じく、現在の日本では死体遺棄罪などにあたる可能性があります。
※法律のことについては別項目「埋葬に関する法律」で解説しています。

文字通り野ざらしにするので、鳥類や他の動物の餌となるケースもあるそうです。

 

鍋かぶり葬

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鍋かぶり葬とは、土葬の際に頭部に鉄鍋などをかぶせるという戦国時代~江戸時代にかけて行われていた埋葬方法の一種す。

ただ、土葬の際、すべての方に鍋をかぶせていたわけではありません。

諸説ありますが、基本的には次のような対象とされているようです。

▼鍋かぶり葬の対象
・お盆に亡くなった方
・疫病患者(ハンセン病・ライ病、伝染病など)の方が亡くなった際

ちなみに、上記対象を裏付ける事象として、江戸時期の人骨からハンセン病菌のDNAが検出されるというニュースが2012年に報じられています。

▼日本における鍋かぶり葬と法律
日本の法律的に「鍋かぶり葬を行うことは禁止」という明記はありません。
基本的には鍋かぶり葬を土葬だと捉えたとして、土葬そのものを禁ずる明記もありません。

実際のところ現代の日本では鍋かぶり葬を執り行う、というのは無いように思えます。

 

エンバーミング

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埋葬の種類として挙げられることのあるエンバーミングですが、意味合い的には技法となります。

エンバーミングとは、ご遺体に消毒や保存処理、修復を施すなどして長期保存できるようにする手法(技法)を指します。
※エンバーミングは日本語では遺体衛生保全という

日本でエンバーミングという言葉自体は、漫画や映画などでも題材として扱われています。

▼エンバーミングが題材の漫画など
・ブラックジャック(漫画)
・エンバーミング(漫画)
・おくりびと(映画)

これらの作品でエンバーミングを知ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

エンバーミングは、ウラジミール・レーニン(ソ連)、毛沢東(中国)など、社会主義国の政治指導者に多く見られます(永久保存処置)

▼日本におけるエンバーミングと法律
日本の法的にエンバーミングに関して定めたものはありません。

※詳しくは下記引用をご参照ください。

【クリックで開閉】法律上の解釈

日本ではエンバーミングに関して制定された法令はない。従って、事業者や技術者は日本遺体衛生保全協会(IFSA, International Funeral Science Association in Japan)の自主基準に則り、施行している。

民事訴訟の判例においては、日本遺体衛生保全協会が規定している自主基準、関係する法令を遵守し、また尊厳を持ち行われた場合、遺体に対する配慮と遺族の自由意志に基づいたものである限り、医学資格を有しない者がエンバーミングを行なっても違法とは言えない。

そのため、エンバーミングを行う前に、遺族に内容の説明をし、理解し同意の上で「依頼書」に署名をもらうことを厳守しなければならない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

【クリックで開閉】エンバーミングの工程

日本においてのエンバーミングとは、エンバーマー(Embalmer)と呼ばれるIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)のエンバーマーライセンスを取得した者や医学資格を有した医療従事者によって、化学的・外科学的に遺体を処置されること。

現代のエンバーミングは、具体的には以下の方法で行われている。

1.全身の消毒、及び洗浄を行う。
2.遺体の表情を整え、必要に応じて髭を剃るなどの処置を行う。

3.遺体に小切開(主に頸部など)を施し、動脈より循環器経路を使用し防腐剤を注入。同時に静脈より血液を排出する。

4.腹部に約1cmの穴を開け、そこからトローカーと言われる金属製の管を刺し胸腔・腹腔部に残った体液や、腐敗を起こしやすい消化器官内の残存物を吸引し除去する。また同時にそれらの部分にも防腐剤を注入する。

5.切開を施した部位を縫合する。この時、切開を行った部分にはテープ等を貼り目立たなくする。事故などで損傷箇所がある場合はその部分の修復も行う。

6.再度全身・頭髪を洗浄し、遺族より依頼のあった衣装を着せ、表情を整え直した上で化粧を施し納棺する。

上記の処置を行われた遺体は長期の保存が可能である。
IFSAでは自主基準により海外搬送のケースを除き火葬埋葬までの日数を50日以内と定めている。
処置後、定期的なメンテナンスを行うことにより、ある程度生前の姿を維持し保存することが可能である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ちなみに、エンバーミングの起源としては、古代ミイラにまでさかのぼるそうです。

 

埋葬の方法として日本で主流な火葬をはじめとする様々な埋葬の形を紹介してきましたが、次の項目では埋葬時に必要な各許可証について紹介します。

 

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埋葬に関する許可証(必要書類)

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火葬(または埋葬)の際、遺骨を墓地・霊園に納める為には許可証が必要となります。

ここでは許可証の名称や、どのような流れで使用する形になっているのかを解説していきます。

 

火葬許可証

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火葬許可証(かそうきょかしょう)とは、死亡届を受理した市区町村の役所が「故人の遺骨を火葬する事を許可」した書類のことです。

▼火葬許可証発行までの流れ

医師から死亡診断書を医師から受け取る

死亡届と死亡診断書を市区町村の役所に提出

役所が火葬許可証を発行

おおまかにこんな感じの流れになっています。

火葬許可証を受け取る為の申請手続きは、葬儀業者が行ってくれるのが一般です。

 

埋葬許可証

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埋葬許可証(まいそうきょかしょう)とは、火葬を終えた後に「無事に火葬が終わりました」という事が明記されて返還される書類のこです。

つまり、火葬許可証が埋葬許可証になります。

火葬許可証・埋葬許可証それぞれ別のものとして認識されている方もいらっしゃいますが、どちらも1つの書類です。

▼火葬許可証から埋葬許可証となる基本的な流れ

医師から死亡診断書を受け取る

死亡届と死亡診断書を市区町村の役所に提出

役所が火葬許可証を発行

火葬場で火葬

火葬場の管理者から「火葬しました」という押印のある火葬許可証を埋葬許可証として受け取る

以上が基本的な流れです。
※埋葬許可証を霊園や墓地の管理者に提出することで納骨が可能となります

火葬許可証と埋葬許可証が1つの書類であることは触れましたが、違いは「火葬しました」という意味の印が押されているかどうか?という点になります。

<あわせて知っておきたい>
火葬許可証(埋葬許可証)は、地域や各自治体によって呼び方が違う場合があります
・埋葬証明書
・火葬証明書
・埋火葬許可証 など

▼埋葬許可証はどうする?
火葬許可証から埋葬許可証となって受け取った後、納骨(遺骨の埋葬)の際に墓地や霊園の管理者に提出する事になります。

▼埋葬許可証の管理・保管
埋葬許可証は、ご遺族が紛失してしまわないように骨壷と一緒に桐箱に収められた状態で火葬場から渡されるのが通常です。

四十九日法要の納骨(一般的に納骨式が執り行われる時)の際までしっかりと保管しておきましょう。

▼埋葬許可証を紛失したら?
中には納骨・埋葬を行わずに手元供養※される方もいらっしゃいますが、もし何らかの事情で埋葬許可証を紛失してしまった場合はどうしたらいいのでしょう?
※手元供養(てもとくよう)とは、遺骨を自宅で管理して供養する形式

埋葬許可証(火葬許可証)を紛失してしまった場合、再発行することが可能です。

▼火葬許可証の発行から5年未満の場合
火葬許可証を発行した市区町村の役所で再発行手続きを行うことになります。
※市区町村の役所では火葬許可証は5年間保管すると定められている(火葬許可申請書が保管されている)

▼火葬許可証の発行から5年以上の場合

市区町村の役所の保管期間である5年を過ぎてしまっていると、自治体によって再発行手続きが複雑だったりします。
※各市町村の役所へ問い合わせ下さい

5年未満の場合であっても自治体によって再発行の手続きが異なる場合もありますので、必要に応じて発行した役所へ問い合わせ下さい。

▼埋葬許可証の保管期間
役所など自治体の火葬許可証の保管期間が5年間と定められていますが、墓地・霊園の管理者も同様です。
墓地・霊園の管理者は、
納骨時にご遺族から受け取った埋葬許可証を5年間保管するという法的義務があります。
※当記事内「墓地、埋葬等に関する法律」項目で解説しています

▼散骨する場合も埋葬許可証の保管は必要?
⇒最近は散骨などの自然葬を行う方も増えてきています。
全ての遺骨を散骨される場合は保管の必要性はありません。
ですが、遺骨の一部を手元供養などで残す場合は埋葬許可証は公的な文書である為、保管しておいた方がいいでしょう。

なぜ埋葬許可証を保管?手元供養自体には埋葬許可証は不要ですが、「遺骨を移動させなければならない」など様々な理由によってお墓や納骨堂へ遺骨を埋葬する際に埋葬許可証が必要となります。

 

改葬許可証

改葬許可証(かいそうきょかしょう)とは、一度埋葬した遺骨を他の場所へ移す際に必要な書類のことです。

改葬も埋葬と同じく市区町村の許可が必要になりますが、改葬で必要な書類手続きは少し複雑になっています。

以下、引用紹介させて頂きます。

改葬での一般的な書類手続きの流れは以下のとおりです。

1.「受入証明書」の発行
改葬先の管理者から受入証明書を発行してもらいます。

2.「埋葬証明書」の発行
改葬元の管理者から埋葬証明書を発行してもらいます。

3.「改葬許可証」の発行
改葬元の市区町村の役場で改葬許可証を発行してもらいます。

4.「改葬許可証」の提出
改葬先の管理者に改葬許可証を提出します。

引用:日本霊園サービス

※あくまで一般的な流れとなっていますので、市区町村によって若干異なる場合もあるかと思われます。
必要に応じてお問い合わせ下さい。

 

埋葬に関する法律

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埋葬に関する許可について前項では解説しました。

次に、埋葬に関する法律はどのようなものとなっているのか?

この記事で先に挙げた埋葬の種類と関連付けた解説で以下、紹介していきます。

・死体損壊、遺棄罪(刑法第190条)
・墓地、埋葬等に関する法律

それぞれの法律についての概要を解説し、埋葬の種類・方法と関連付けた形で要点を取り上げてわかりやすく紹介します。

では、順に見ていきましょう。

 

死体損壊・遺棄罪(刑法第190条)

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自然葬(散骨)においてよく挙げられることのある「死体損壊・遺棄罪」に関して

法律的には刑法第190条「死体損壊・遺棄罪」として制定されています。

▼死体損壊・遺棄罪とは?

死体損壊・遺棄罪(したいそんかいいきざい)とは、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得する犯罪(刑法第190条)。
法定刑は3年以下の懲役である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

死体損壊・遺棄罪とはつまり、一般的な埋葬の形としては認められないような方法で遺体を放置する犯罪ということになります。

▼死体損壊・遺棄罪に関するニュース

▼火葬後の妻の遺骨を自宅で保管していた夫がコインロッカー内に遺骨を納めた骨壷を捨てる(2017年)
⇒参考:zakzak by夕刊フジ
▼スーパーのトイレに妻の遺骨を遺棄した夫を死体遺棄容疑で書類送検(2015年)
⇒参考:産経ニュース
▼親の遺骨置き去りで逮捕「納骨する金銭的余裕ない」の供述(2011年)
⇒参考:NEWSポストセブン

殺人事件などでも「死体遺棄」という言葉はよく出てきたりします。

ですが実際に起きた事例を知ることで、死体遺棄・損壊罪への理解がより深まるのではないかと思われます。

 

墓地、埋葬等に関する法律

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埋葬に関係する法律「墓地、埋葬等に関する法律」について

▼墓地、埋葬等に関する法律とは?

墓地、埋葬等に関する法律(ぼち、まいそうとうにかんするほうりつ、昭和23年5月31日法律第48号)は、墓地、納骨堂または火葬場の管理および埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的として、昭和23年(1948年)に制定された日本の法律である。
墓埋法(ぼまいほう)、埋葬法(まいそうほう)などと略される。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「国民の宗教的感情に適合し」というのは「国民の宗教的感情を配慮しつつ」という意味合いです。
つまり、国民の宗教的な感情に配慮しつつも、一定のルールで定められた法律が墓地、埋葬等に関する法律という事になります。

▼墓地、埋葬等に関する法律の略称
・墓地埋葬法(ぼちまいそうほう)
・埋葬法(まいそうほう)
・墓埋法(ぼまいほう)

以下、墓地埋葬法の表記で統一します。

前項「埋葬許可証」にて触れた「納骨の際にご遺族から埋葬許可証を受け取った墓地・霊園の管理者は5年間保管しなければならない」という法律、この法律が墓地埋葬法の事になります。

第16条 墓地又は納骨堂の管理者は、埋葬許可証、火葬許可証又は改葬許可証を受理した日から、5箇年間これを保存しなければならない。
2 火葬場の管理者が火葬を行つたときは、火葬許可証に、省令の定める事項を記入し、火葬を求めた者に返さなければならない。

引用:厚生労働省【墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)】

<わかりやすく言うと>
・墓地や霊園の管理者は埋葬許可証を受け取った日から5年間保存しなければいけない、
・火葬場の管理者は火葬を行った際、火葬許可証に法的に定められてる必要事項を記入して、ご遺族などに返還する

わりとよく疑問に挙がるのが、埋葬の期限についてです。
「遺骨をいつまでに埋葬・納骨しなければいけない」という期限は法的にありません。
※火葬後の遺骨は四十九日法要の際、行われるのが一般的

ちなみに、埋葬許可証が無い状態で勝手に遺骨の埋葬を行ってしまうと刑法第190条(死体遺棄罪)となります。

▼墓地埋葬法に関するニュース

▼大分の民間業者が無許可で墓地を作って分譲していた背景に「墓地埋葬法を知らなかった」(2018年)
⇒参考:大分合同新聞
▼兵庫県明石市の市営斎場が7年半の間、許可申請せずに違法状態のまま火葬していた(2018年)
⇒参考:神戸新聞NEXT
▼無許可で納骨堂を経営したとして住職を墓地埋葬法違反の疑いで書類送検(2017年)
⇒参考:産経WEST

墓地埋葬法に関しては、違反事例のほかにも疑問などが取り上げられたりしています。

次の項目で、埋葬の種類・方法と法律を関連付けた形で解説します。

 

埋葬種類別で見る法律チェック

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当記事内でこれまで紹介してきた埋葬の種類・方法について

前項で解説した「死体損壊・遺棄罪」「墓地埋葬法」の法律との関連性をまとめてみました。

▼火葬に該当する法律の関連性

以下、■部分をクリックで各項目ごとに切り替わります

墓地埋葬法(第3条)墓地埋葬法(第5条)墓地埋葬法(第4条2項目)

第3条 埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。
但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。

引用:厚生労働省【墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)】

<わかりやすく言うと>
原則、死後24時間以内は火葬してはいけない
※以下の場合は対象外
・妊娠6ヶ月以下の胎児
・法定伝染病などの感染症、新型インフルエンザなどの感染症による死亡の場合

第5条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。

2 前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあつては死亡若しくは死産の届出を受理し、死亡の報告若しくは死産の通知を受け、又は船舶の船長から死亡若しくは死産に関する航海日誌の謄本の送付を受けた市町村長が、改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする。

引用:厚生労働省【墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)】

<わかりやすく言うと>
火葬や埋葬、改葬を行う場合、死亡届等を受理した市町村長の許可が必要
⇒許可なく火葬した場合は墓地埋葬法違反
※墓地埋葬法違反と、さらに刑法第190条「死体遺棄・損壊罪」に問われる

(第4条)2 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。

引用:厚生労働省【墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)】

<わかりやすく言うと>
火葬場以外で火葬してはいけない

⇒火葬場として許可を得ているところ以外で火葬した場合は墓地埋葬法違反

 

▼散骨・自然葬(樹木葬・海洋葬・宇宙葬)に該当する法律の関連性

以下、■部分をクリックで各項目ごとに切り替わります

散骨・自然葬について樹木葬海洋葬(海洋散骨)宇宙葬

日本の法律に自然葬についての法律はありません。
同様に、散骨についての法律もありません。

散骨については厚生労働省が墓地埋葬法の解釈に関して1991年に次のような見解を発表しています。
「墓地埋葬法は、遺灰を海や山に撒く葬法は想定しておらず、法の対象外である」
同年、法務省も刑法第190条(死体損壊・遺棄罪)に対して「節度をもった埋葬であれば問題はない」という見解を出しています。

自然葬についての法律はありませんが、樹木葬に該当する法律で次のことは覚えておきましょう。

▼墓地埋葬法(第4条)

第4条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。

引用:厚生労働省【墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)】

<わかりやすく言うと>
埋葬や焼骨は墓地以外で行ってはいけない
⇒墓地として許可を得た場所以外で埋葬や焼骨を行うと墓地埋葬法違反
さらに刑法第190条「死体遺棄・損壊罪」に問われる
<樹木葬よくある質問>
Q.個人で土地を購入して墓地としての許可を取れば良いのでは?
⇒現実的ではありません
Q.自宅の敷地内で樹木葬は?
⇒土の中に埋める行為=埋葬なので墓地埋葬法違反となります

散骨自体が法的には問題がなくても、何処でも海洋葬(海洋散骨)できるというわけではありません。

厚生労働省や法務省が「節度をもった埋葬であれば問題はない」という見解しているように、モラルやマナーに気を付けなければいけません。

一般的に海洋葬(海洋散骨)で禁止とされている主な行為
・粉骨(粉末状)していない遺骨の投棄
・花束の投棄は禁止(花を投棄する場合は花びらのみ)

宇宙葬として明記されている法律はありません。

厚生労働省や法務省が「節度をもった埋葬であれば問題はない」という見解しているように、節度的に著しく逸脱していなければ「宇宙葬は問題なし」とされています。

<宇宙葬よくある質問>
Q.遺骨を納めたカプセルやロケット自体が地球に落ちて来ることはないのか?また宇宙ごみについては?
⇒宇宙葬を取り扱う業者のロケット(人口衛星)は最終的に摩擦熱や流れ星となって燃え尽きる無害な形の為、落ちて来ることもなければスペースデブリ(宇宙ごみ)ともならないとされているようです

 

▼土葬~エンバーミングに該当する法律の関連性
※当記事内「その他の埋葬の種類」にて紹介した埋葬種類

以下、■部分をクリックで各項目ごとに切り替わります

土葬水葬風葬洗骨葬鳥葬塔葬冷凍葬野ざらし葬鍋かぶり葬エンバーミング

日本で土葬は法律で禁止されていません。
墓地埋葬法においても土葬は火葬同様に扱われています。

ですが、条例で土葬を禁止している地域があります。
例)東京都新宿区の条例

(土葬の禁止等)
第13条 墓地の経営者は、土葬(死体(妊娠4か月以上の死胎を含む。)を土中に葬ることをいう。以下この条において同じ。)をさせてはならない。
2 墓地の経営者は、焼骨のほかは埋蔵させてはならない。
3 前2項の規定にかかわらず、特別の理由があると認められる場合であって、区長が公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めて許可したときは、前2項の規定は、適用しない。

引用:新宿区墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例

東京都新宿区の場合、条例として土葬は禁止となっていますが、例外的な場合もあるという内容になっています。
※条例は各地域により異なります。
より詳しく知りたい方は、お住まいになられてる地域の条例を一度調べてみるといいでしょう。

日本では刑法第190条に該当する為、禁止されています。
ただし、例外として水葬が行える場合があります。

▼船員法15条に基づく例外

例外として、日本船籍の船では船員法15条に基づいて、船舶の航行中に船内の人間が死亡した時に、船長の権限で水葬を行える。

船員法に基づいて水葬を行うには、以下の条件を全て満たす必要がある。(船員法施行規則第15条、第16条)
死亡後24時間経過したこと(伝染病以外)
衛生上、船内に死体を保存できないこと。(ただし、船舶が死体を載せて入港することを禁止された港に入港しようとするときその他正当の事由があるときを除く)
医師の乗り組む船舶にあっては、医師が死亡診断書を作成したこと。
伝染病によって死亡したときは、十分な消毒を行ったこと。
本人写真の撮影、遺髪、遺品の保管をし、遺体が浮き上がらない処置を講じた上で相当の儀礼をもって行うこと。

また、自衛隊でも水葬に関する事柄が定められている(防衛省訓令 隊員の分限、服務等に関する訓令・第21条。自衛隊の場合は、船員法の条件と、下の2条件が異なった規定となっている。
医官が乗り組む船舶にあっては、医官が死亡診断書または死体検案書を作成していること
伝染病によって死亡したときは、感染症法およびこれに基づいて発する命令の規定による消毒方法をしていること

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

このように水葬に関する例外はありますが、基本的には現在の日本では刑法第190条の死体遺棄罪に該当する違反行為だと認識しておきましょう。

日本の法律的に、風葬を行うことは禁止という明記はありません。
ですが、遺骨を放置するという観点では現在の日本では刑法第190条(死体遺棄罪)などにあたる可能性があります。

日本の法律では、洗骨葬についての明記はありません。

-補足-
洗骨に関しては、洗骨サービスを行っている業者なども存在しています。

▼洗骨サービスの一例
・お墓に埋葬された遺骨のカビや汚れの洗骨
・骨壷が割れてしまった事による遺骨の洗骨

法律的に鳥葬についての明記はありません。
※そもそも日本には鳥葬の習慣がない

<もしも鳥葬を行ったら?>
もしも日本で鳥葬を行った場合は刑法第190条(死体損壊・遺棄罪)にあたる可能性があります。
遺体の形が著しく変わってしまう、遺体を放置するという観点からも抵触する可能性がある

日本の法律的には塔葬についての明記はありません。
※鳥葬と同様に、塔葬の習慣は日本にない

<もしも塔葬を行ったら?>
もしも日本で塔葬を行った場合は刑法第190条など様々な法律に抵触してしまうことになると思われます。

日本の法律的には冷凍葬についての明記はありません。

現在では冷凍葬を行える場所(施設)が無い、宗教的な儀式面などの問題や懸念はあります。
しかし冷凍葬は「火葬に代わるメジャーな埋葬方法になりうる」といった関心も声も寄せられています。

▼冷凍葬への関心
・時間面(火葬よりも時間が掛からない)
・火葬よりも費用が安い
・環境に優しい
などの理由から関心が寄せられているようです。

日本の法律的には、野ざらし葬についての明記はありません。
ですが、風葬同様に遺骨を放置するという観点で現在の日本では刑法第190条(死体損壊・遺棄罪)にあたる可能性があります。

日本の法律的には、鍋かぶり葬についての明記はありません。

当記事内「鍋かぶり葬とは」でも触れた通り、鍋かぶり葬は土葬の際に行われていたものです。
「鍋かぶり葬は日本で法的にどうなのか?」と考える場合、広義として土葬扱いで捉えるのが無難だと思われます。

日本の法律的には、エンバーミングについての明記はありません。

▼日本におけるエンバーミングに関して

日本ではエンバーミングに関して制定された法令はない。従って、事業者や技術者は日本遺体衛生保全協会(IFSA, International Funeral Science Association in Japan)の自主基準に則り、施行している。

民事訴訟の判例においては、日本遺体衛生保全協会が規定している自主基準、関係する法令を遵守し、また尊厳を持ち行われた場合、遺体に対する配慮と遺族の自由意志に基づいたものである限り、医学資格を有しない者がエンバーミングを行なっても違法とは言えない。

そのため、エンバーミングを行う前に、遺族に内容の説明をし、理解し同意の上で「依頼書」に署名をもらうことを厳守しなければならない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

<わかりやすく言うと>
・日本遺体衛生保全協会の考えた基準に沿ってる限り、医学資格がない人がエンバーミングを行っても違法ではない
・エンバーミングを行う前にご遺族に対する内容の説明、ご遺族の理解同意の上で依頼書に署名をもらわなければいけない

いずれの埋葬についても言える事ですが「法律や条例は全文で覚える」という事ではありません。

「何が違反行為となるのか?」それだけ頭に入れておくだけでも理解できている事になると思われます。

 

埋葬料

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埋葬の種類・方法と法律の関連性について紹介してきましたが、法律という観点では「埋葬料」についても合わせて紹介しておきます。

▼埋葬料とは?

埋葬料(まいそうりょう)とは、健康保険法等を根拠に、日本の公的医療保険において、被保険者が死亡した際に行われる保険給付(現金給付)である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

わかりやすく言うと、被保険者とは「被る(こうむ)る」という意味合いがあるので、健康保険を受けている本人が死亡した際に受け取ることのできるお金が埋葬料になります。

▼埋葬料に該当する健康保険法

健康保険法(第100条1項)健康保険法(第113条)

▼健康保険法の第100条1項

(埋葬料)
第百条 被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。

引用:厚生労働省 健康保険法

<わかりやすく言うと>
生計を維持していた者とは?
⇒ご家族・ご遺族である事は問われない
⇒被保険者が世帯主か同一世帯であるかも問われない
埋葬を行うものとは?
⇒埋葬の事実に関係なく「埋葬を行うべきもの」を指す
⇒埋葬を現実に行う・行った者を指すわけではない

▼健康保険法の第113条

(家族埋葬料)
第百十三条 被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対し、第百条第一項の政令で定める金額を支給する。

引用:厚生労働省 健康保険法

<わかりやすく言うと>
被扶養者とは?
⇒被保険者の配偶者(戸籍上の婚姻届がない場合でも事実上婚姻関係含む)ほか、子や孫など被保険者によって生計を維持されている人を指す
⇒被保険者と同一世帯で、被保険者の収入によって生計を維持されてる三親等以内の親族なども指します

※死産の場合は家族埋葬料が支給されず、出産育児一時金が支給されます

▼埋葬料と埋祭費の違い
ネットなどではたまに「埋葬料と埋葬費の違いは?」と見かけたりもします。
「埋葬費(まいそうひ)」とは「埋葬費(まいさいひ)」と呼ばれることもあり、埋葬費との違いは

埋葬料:全国健康保険協会(協会けんぽ)、組合健保、共済組合、船員保険に加入されている方または扶養家族の場合
埋葬費(埋祭費):国民健康保険(国保)に加入されている方または扶養家族

つまり、加入している保険による違いという事です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページ内「ご本人・ご家族が亡くなったとき」に、埋葬料申請時の提出書類の事についてなど記載されていますので、ご参考までに。

▼埋葬料として支給される金額
健康保険法の第100条1項にある「政令で定める金額」とは、埋葬料として支給される金額を指しています。
支給される金額は以下の通りです。

埋葬料:5万円(平成18年10月 改正法施行)
全国健康保険協会(協会けんぽ)、組合健保、共済組合、船員保険の埋葬料は5万円
※葬祭費(埋祭費)は各自治体によって異なります
※健康保険組合や船員保険の場合は、付加給付として支給額の上乗せが可能⇒必要に応じて各所お問い合わせ下さい

まとめ

埋葬に関して意味や種類、許可や法律について紹介しました。

法律が絡むと一見難しく感じる事があるかも知れませんが、埋葬について最後にざっとまとめると

・埋葬には必ず埋葬許可証(火葬許可証)が必要、勝手に埋葬するのは法律違反
・埋葬時に必要な各書類(許可証)などは不備の無いように

基本的に埋葬に関して「何が良くて何が駄目なのか?」を理解しておくと、罰せられる事は無いと思われます。

許可証(必要書類)についても、不安点などあれば役所などの受け取り元や、墓地・霊園など提出先に相談や問い合わせを行う事も出来ます。

ご自身の埋葬や葬儀について、例えば「火葬だけにしてほしい」など事細かな希望・要望をエンディングノートに書かれる方もいらっしゃいます。

終活.comではエンディングノートについてもわかりやすく解説しています。

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